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直哉にはどこに向かっているかナイショのまま、車はいつものスタジオへ。



初回限定版のブックレット付きアルバムの予約が予想を上回った。



発売前から通常盤も増版が決まり、どうせなら…と増版分は絵を少し変えることに。



その最終の打ち合わせに来ていたのだ。



今日は早く終わったし、なこの初めての仕事が無事成功することを願って前祝いしようってことになってる。



SSGメンバーと鹿島さん、社長や優さん達と飯に行く予定。



せっかくだし、暇そうな直哉も連れて行ってしまえ大作戦だ。



っていうのも、実はginjiさんの次女がNAOファンらしい。



今日はginjiさんファミリーも来る予定だから、丁度いいじゃん?



「ちょ、ここどこっすか。え、ウソ、なんか高級車ばっかり!」



SSGのスタジオの地下駐車場に入ると、勘のいい直哉は異変に気付いた。



まぁ普通こんなに高級車揃うことねぇもんな。



さすが伝説のロックバンド。



日本で数台しかないような車が並んで停めてある。



「はい、降りて」



ソワソワして中々シートベルトを外さない直哉を降ろして、スタジオ内へ。



「お、JUN早かったな‼︎」

「お疲れっす。タバコ?」



入り口付近でタバコ吸いに出るshikiさんと会った。



shikiさんファンだと豪語してた直哉は口を開いたまま固まってる。



落ちるんじゃないかってくらい開かれた目が、徐々にキラキラと輝き出した。



「俺吸ってから戻るから〜」

「はーい」



未だ言葉は発さず、shikiさんを見つめる直哉を引きずって歩く。



このままだとタバコ吸い終わるの待つとか言い出しそうだし。



あの人根元までゆっくり味わって吸うから、めっちゃ長いんだよね…。



「ちょ、え、うそ、え、なに、ココ⁉︎」

「はい、静かにね〜」



我に返った直哉が騒ぎ出す。



そろそろ自分で歩いてよ…





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