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なこが引き渡された…。
つまり、敵がなこの里親から組織に変わってしまった。
なこを助けるのが難しくなった。
俺1人で立ち向かえる相手じゃねぇ…。
モデル界に戻れねぇかもな。
それでも、俺は、なこを迎えに行く。
ボロボロになっても、なこをこの手で抱きしめるまで諦めねぇ。
「淳、お前1人で行く気だろ…」
「俺個人の問題だから」
「バカか⁉︎相手は1人じゃねぇんだぞ?しかも本職だ」
わかってる。
わかってるよ、そんなこと。
「…俺の知り合いに、あいつらと互角に戦える奴がいる」
「え…?」
「話つけるから、あと2日…いや、1日だけ待て」
「関係ねぇ人巻き込めない」
「アホ。そいつにも関係あんの。人が売られようとしてんだからな。それに、猫が居なくて困るのはお前だけじゃねぇ。猫はもう、この事務所の一員だろ〜が」
…ケンさん。
「いいか?とりあえずお前は寝ろ。体力温存しとけ」
任せるしかねぇのか…。
「JUNさん、お疲れっした〜」
「お疲れ〜」
「ゆっくり休めよ〜」
仕事場を後にして、漫画喫茶に向かう。
1人になりたいから…。
家に帰ると、なこが居ない寂しさを突きつけられるから。
個室に入って軽く仮眠を取る。
っていっても、5分もせずに目が覚めちまうんだけどな…。
なこが居ないと、ろくに睡眠も取れやしないんだ。
いつの間にか、こんなにハマってんだ。
「……なこ」
つぶやいてみて、返事がないことに悲しくなる。
…とりあえず今できることをやろう。