teach
家に帰って、なこが残したモノを眺める。
なこが描いた絵。
なこ専用の小さな茶碗。
なこのために買った小さいタオル。
なこが喜んで使ってたフワフワのクッション。
いつの間にか、俺の部屋にはなこが溢れてる。
プルルルルル…
暗い部屋、物音のしなかった部屋に突然響く着信音。
「…コウちゃん?」
待ち受けに映る、コウの文字。
何かあったのか?
「もしもし」
「あ、淳?起きてた?」
「あぁ」
「お前まだ寝れねぇの?今夜中の4時だぞ⁉︎」
「…そんなに時間経ってたんだ。気づかなかった」
「はぁ…まぁいいや」
「で、用件は?」
コウちゃんが用件なしに電話するわけねぇじゃん。
極度の面倒くさがり屋だし。
「写真集。急いで試しに一冊だけ作ってもらったのが出来上がった。マジ1日でできるとか奇跡だろ」
「そうっすか…それ、もらえます?」
「そのために作ったんだし」
「ですね、今から取り行きます」
「今から⁉︎バカか。待っとけ。後で届けるから」
…家でジッとしてるのって辛いんだけど。
でも、まぁいいや。
写真集が届いたら、全ての準備は終わる。
待ってろ、なこ…。