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なこが帰ってきた。
なこの家から出ると、そこにはみんながいた。
思いの外時間がかかったらしく、心配して集まってくれたらしい。
いつもの車に乗って俺のマンションへ向かう。
やっと“日常”が戻ってきた。
隣にはなこがいるし、運転席にはコウくんがいる。
助手席には、お祝いにケーキね〜♪と電話で真友子さんと話す雪ちゃん。
「なこ……おかえり」
「……ん。ただいま」
小さな声で、だけどしっかりと聞こえた。
なこの里親と組長さんは、色々とヤラカシていたみたいで…。
きっともう、一生俺らの前に現れることはないだろう。
これでなこの“家族”は俺が奪ってしまったことになる。
どんなに酷い奴らでも、なこを愛していたのは確かだ。
『“なこ”をよろしく』
そう言っていたのだから。
なこの“家”を潰してしまった。
「なーに思いつめた顔してんのよ〜」
「………」
「ちょっと〜?淳に話してるんだけど?」
「……え?あぁ、雪ちゃん何?」
気づかなかった……。
「別に〜。あのねぇ、なこちゃんの居場所はココよ?あんたがそんな顔してたら、なこちゃん不安になるでしょう?あんたは黙ってなこちゃんの新しい“家”作ってやんなさいよ〜」
雪ちゃんって…。
いつもいつも、核心ついてくるよな…。
そっか…、俺がなこの居場所作ればいいのか。
いつか家族になれれば……イイな。
「ほら〜もう。早く車降りなさいよ〜」
「え⁉︎あれ?なこは⁉︎」
「部屋連れてったわ」
よし…とりあえず我が家へ入ろう。