天国への切符
あたしの責任?
「おかしくない?だいたいあたしが守れなかったのは門限を7時に決めたお母さんのせいじゃん!」
苛立ちが一気に爆発した。
だいたいケント君とのことだって、元はと言えば門限なんかがあったせいだ。
門限が早くなければ。
簡単に彼氏の家に泊まることなんかができていれば。
あたしだって時間をかけたら…あんな風に毎回止めたりなんかしなかっただろうし。
ケント君は他の女によそ見なんてしなかったかもしれないし。
今日みたいなあんな想い…
しなくて済んだのかもしれないのに。
「っていうかお父さんも何なの?ほとんど家にいなかったくせに!最近ちょっと家にいるからっていきなり偉そうに父親面?お母さんにずっと任せっきりだったくせに!」
「真優!何てこと言うの!お父さんは仕事の付き合いとか色々あっ」
「仕事優先でしょ?だったらずっと仕事優先でいいじゃん!今さら休みの日に家にいられても迷惑なんだよ!こうやって揃って説教するだけでしょ?マジうざい!」
大声でまくし立てた。
苛立ちをあっという間に吐き出した。
‘‘パンッ!’’
そしたらまた、リビングに響いた音。
さっきお母さんに叩かれた頬と同じ場所を、今度はお父さんが叩いた。
ジンジン痛む頬。
何だよ…何なんだよ!
「甘ったれんのもいい加減にしろ!お前今がどういう時か分かってるのか!」
「は?何だよ!」
「お母さんの気持ちを考えたことあるのか!」
「ちょっとあなた!もういい、もういいからお願い、もう怒らないで…真優、もういいから二階にあがりなさい」
こうなった原因を作ったのはお母さんなのに。
今度はしらじらしくあたしをかばうわけ?
「…こんな家、生まれてきたくなかったよ!」
あたしはそう叫ぶと急いで二階へ駆け上がった。