天国への切符
その日を境に、あたしは家で口を聞かなくなった。
話しかけられても、うん、とか頷いたり首を振ることしかしなくなった。
携帯を解約されるのだけは嫌だったから、8時までには帰るようにはなったけど。
朝はギリギリに朝食を食べてすぐに家を出る。
家に帰ったらご飯を食べてすぐに自分の部屋に戻る。
とにかく部屋から出ることはなくなった。
リビングでテレビを見ることも、くつろぐことも全くしなくなった。
食事中、そんなあたしにおばあちゃんが時々話しかけてきたけど、おばあちゃんのこともほとんど無視していた。
言ってることも訳わかんないし、トイレを流してなかったり、また突然家からいなくなって探すのを手伝ってくれってお母さんに頼まれたり。
だけどもちろん手伝うことなんてしなかった。
何であたしが協力しなきゃなんないのって感じだし、いなくなって迷惑かけるくらいなら、もうそのまま戻ってこなきゃいいのに…って。
そんなことを思うようになった。