天国への切符
「だーかーらー、いつまで鬼太郎みたいな髪型してんだよ!」
それは、数日後のお昼休みだった。
久しぶりに、教室にサエの大きな声が響いた。
「真優達も言ってやりなよ、ダッサイって」
そして煽るようにそう言われたあたしは、すぐに口を開いた。
「本当、ダッサイ。目ざわり。早く切れよ。切らないなら切ってあげようか?」
「……」
最近のイライラした気持ち。
それをぶつけるように美波に言った。
だけど、いつもと同じ。
美波はうつむいたまま黙り込んでいる。
「聞いてんの?」
そんな姿を見て、何故だかあたしはとてもイライラした。
溜まっている鬱憤が爆発しそうだ。
「いいじゃんそれー!切ってあげようよ、ウチらで」
サエがふざけたように笑いながら、ノアにハサミ持ってる?と聞いている。
「えっ…あるけど…それはやばくない?」
だけどノアは困った表情をして、ハサミを出すのを躊躇っていた。
「うん、切るのはやり過ぎじゃない?」
そして聖子も。
戸惑うような声でサエにそう言った。