天国への切符
「土曜にする?」
「日曜のがよくね?」
聞こえてきた声。
教室の前方のドアに、教室内にいた全員の視線が向いた。
…吉岡が、戻ってきたからだ。
「日曜かぁ。っつーか…え?何?」
突き刺さる視線に驚いたのか、目を丸くする吉岡。
そして次の瞬間、吉岡はハッとしたように美波の方へと視線が動いた。
ヒクヒクと乱れる美波の呼吸。
教室内の異様な雰囲気。
「…何したんだよ」
最初は、小さく聞こえた声。
だけど泣いている美波に近付くと、何が起きたのかをすぐに悟ったようだった。
「…ありえねえ……こんな……おいお前ら!見てただけか!!」
そして大きな声を張り上げると、そばにあった椅子をバンッと蹴り飛ばした。
「こんなことされてるのを、これだけいて、誰も止めなかったのかよ!!」
吉岡はそう言うとあたし達を睨みつけて美波をそのまま教室から連れ出していった。