天国への切符
「ふふっ、何よ偉そうに大人ぶっちゃって」
だからあたしは明るくそう言って。
「少なくともお前よりは大人だと思うけど?」
悲しそうに見えた吉岡の顔をいつもの顔へと引き戻した。
「っていうかさっきからお前お前って。あたしは平野真優って名前があるんですけどー」
「はいはい、平野さん」
「いちいちむかつくー、まぁいいや、じゃあずっとさん付けで呼んでね」
「じゃあ俺のことは吉岡さまって呼べ」
「何で。あははっ、意味わかんない」
「お前もわけわかんねーし」
だって遠くを見つめる吉岡が、あまりにも泣きそうに見えたから。
昨日見た、あの顔と同じような悲しそうな目をしていたから。
だから…
どうにかして笑わせてあげたかったのかもしれない。