天国への切符



「まさかとは思うけど、美波の方につきたかったらいってもいいよ」



教室に着くまでは一言も話しかけてこなかったサエ。


だけど、教室に着いた途端周りに見せしめるように大きな声であたしに聞いてきた。



「どうなの?」

「…なっ、何言ってんのサエ。真優がそんなことするわけないじゃん」



登校してきたばかりの何も知らない聖子
がそう言ってあたし達の間に入る。



「ねっ?真優?」



雰囲気は最悪で教室の空気は最低で。



「ごめん聖子…あたし…もう分かんない」



もう一刻も早くこの場から逃れたかった。



サエはいつもより一段と不機嫌。

イライラしているのが目に見えて分かった。




「分かんない?ま、別にどっちでもいいけどさ。どいつもこいつも……ほんとウザい」



サエがそう言って席に着いた時、美波と吉岡が遅れて教室に入ってきた。


シーンと静まり返る教室。


誰もがうつむいたまま、次々に席についていく。


いい加減、自分にウンザリしてくる。


言いたいことをハッキリと言えない自分自身が何故かとても情けなく思えた。


< 154 / 363 >

この作品をシェア

pagetop