天国への切符



「つーか、大丈夫か?」


「何が?」


「いや、だから…あいつらだよ。お前無視されてるだろ?昨日からずっと」



黙々とお弁当を食べていると、言いにくそうに吉岡が聞いてきた。


そりゃ嫌でも気付くよね。

あからさまだもん。

クラスメイトみんな分かっちゃうよね。




「全然大丈夫、と思う」


「と思う、って完全に大丈夫じゃないじゃん」


「今んとこ大丈夫ってこと」


「何だよそれ」


「っていうか気付いてたんならあたしのことも美波みたいに助けてくれたっていいのに」


「ははっ、ごめんごめん。ちょっと様子うかがってたんだ」


「ひっどーい」





お弁当を半分くらい食べたところで、あたしは箸を置き、お弁当箱を片付けた。




冬の空は雲が高い。

見上げていると、流れるように空の色が変わっていく。


冷たい風に目を細めると、何故だかふと泣きそうになった。





「でもあたしさ…」


「うん」


「美波の気持ちが、初めて分かったかも」




ひとりって、寂しくて。

ひとりって、悲しくて。

誰かがそばにいないって、それだけで孤独を感じて。



胸が痛くて、でも誰にも頼れなくて。


みんな見て見ぬフリだし、不思議と助けてほしいとも思わなくて。


だって、どうにもならないし。


あたしが悪かったのかもしれないし。




だけど、ずっと美波はこんな気持ちだったのかなって思うと苦しくてたまらなかった。


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