天国への切符




「うっざー」



だけど良いことばかりではない。


サエの大きな声が教室に響くと、すぐにそんな空気は変わっていく。



「本当……いちいちムカつくんだよ!」



声を荒げたサエはそう言いながらあたしに近付いてきて。



「私、あんたのこと大っキライになったから」



あたしの肩にドンッとぶつかってきた。




「……たしもだよ」


「はぁ?」


「あたしもだよ!」



気が付いたら大きな声で叫んでいた。




「何がだよ?」


「あたしもそんなサエ大キライ!もうやめようよ…もう…嫌だよこんな毎日…」



そして、言いながら涙がこぼれた。



「ずっと五人で仲良かったじゃん…先輩のことは美波にもいけないところはあったかもしれない…でも…美波はハブられてもイジメられても…サエのこと心配して…」



キライになられてもおかしくない。

それくらいあたし達は美波にヒドイことをしてきた。



なのに美波は、そんなあたし達をかばったり、サエの体のアザを気にして心配してたり…


今でも友達だと思ってくれてるんだよ?


じゃなきゃ言ってこないよ…

あたしにあんな話…



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