天国への切符



「はあ?私のこと心配?意味分かんないんですけど。てか心配なんてしてもらう必要ないし」



サエはそう言うとあたしの横を通り過ぎて。



「真優に何言ったのか知らないけどいちいち人の話題だしたりしてウザいことすんじゃねーよ」



美波にもそう言いにいった。



そんなサエを、聖子とノアは黙って見ていた。


いや、見ていることしかできないんだ。


あたしだってほんの少し前まではあっちにいた。


あたしだってほんの少し前までは何も出来ずに見ていることしかできなかった。



でも、あたしが変われば…

ふたりだって変わるのかもしれない。




静まり返る教室。

あたしはふたりの前まで歩いた。



「聖子、ノア。今…楽しい?」


「「えっ…」」



戸惑ったようなふたりの声が重なる。



「今のままで、このままでいいのかな」



そしてあたしがそう聞くと、聖子もノアも黙ったままうつむいてしまった。



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