天国への切符
「あのさ……あたしで良かったら、何でも聞くよ?」
「えっ?」
「あたしの悩みも色々聞いてくれたでしょ?だから…」
「ははっ、別に悩みなんてねーし。だいたいあってもお前には言わない」
何でもいいから何か力になれたらって。
あたしにできることなんて何もないかもしれないけど…話を聞いてあげることくらいはできるからって。
そう思って言ってみたけど。
吉岡は話してはくれなかった。
あってもお前には言わないって。
そう言ってはぐらかされた。
あたしはこいつに助けてもらったのに。
いろんな悩みとか聞いてもらったのに。
「あっそ!人が親切に言ってあげたのにさー、親切に!」
「小さな親切、大きなお世話だ」
「ムッカー!性格悪いんじゃない?」
「ははっ、お前に言われたくねーよ」
「どういう意味ですか?」
だからあたしは、聞けないのなら笑わせてあげたいと思った。
「そういう意味ですけど」
「もう一回言ってみろ!ほらっ」
「ちょっ、お前っ、あはは!やめろって」
悩みとか辛さとか、こいつに何があるのかは分からないけど。
とにかく笑わせて、今のこの瞬間を楽しいものに変えてあげたかった。
だから思い切りわき腹をくすぐりまくって。
「あははっ、だからやめろって、頼む!あはは、ちょっ、俺が悪かった」
吉岡を笑顔にさせたんだ。