天国への切符



「昔もこんなことあっただろ」


「えっ?」


「四年か五年の頃だったかな。俺が先生にすっげー怒られて落ち込んでた時」


「…何かあったっけ?」



ふと吉岡に言われた言葉。

なんとなく昔を思い出してみたけど。

だけど何にも思い出せなくて。




「あったあった、今みたいに絡んできたかと思ったらいきなりくすぐってきたりして」


「えっ…そうだっけ?」


「…ま、覚えてるわけねーよな、俺以外にもよくそんなことしてたし」



吉岡はそう言うと、何故かあたしのオデコを指先でコンッと弾いて。



「でも、もう高校生なんだし。あんま…誰にでもこういうことすんなよ」



言いながらあたしを見下ろした。


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