天国への切符
「ばあちゃんは今日から金土日の三日間、体験入所してるんだ」
お母さんに聞いたのに、お父さんがそう答えて。
「体験入所?」
「あぁ。老人ホームみたいなところだ」
言われた瞬間、あのパンフレットのことを思い出した。
「おばあちゃん、老人ホームにいれるの?」
「まだハッキリとは決まってない。でも入所する前に、体験してみて様子を見てから決めることになってる」
「なってるって…ほぼ決まりってこと?」
「…まぁ、そうなるだろうな」
そうなるだろうな、ってさ。
めちゃくちゃ他人行儀じゃん。
自分のお母さんでしょ?
「何で…今のままじゃダメなの?」
別に、おばあちゃんとずっとこのまま暮らしたいとか特別思ってるわけじゃない。
でも…このまま一緒に暮らしていきたくないわけでもなくて。
「今のままじゃ…いろいろあるんだ」
そう答えたお父さんに、何故かものすごく腹が立った。