天国への切符


「今日真優、ずっとイライラしてない?」
「そうだよ何かあった?」
「どしたの?」


昼休みの食堂。

あたしの周りにいるサエ達がそう言って私を見ている。


サエはカレーライス。
聖子は日替わり定食。
ノアはわかめうどん。

みんなの目の前にはトレーに乗った食堂メニュー。

なのに、あたしの前にはお弁当袋だけがぽつんとしている。



「朝からお母さんとケンカしたの。マジうざい。っていうか…あたしも何か買ってこようかな」


そう言って立ち上がったあたしに、三人は次々に言った。


「え?お弁当は?」
「食べないの?それ」
「もったいなくない?」


だけど何故だかそんな言葉が余計に腹立たしくなった。

三人はいつも食堂メニュー。

あたしだけはお弁当。

こんなぼっちは…もう嫌だ。




「こんなもん、いらないし。食べない」



あたしはそう言うとお弁当袋から弁当箱を取り出して。

蓋を開けると、そのまま近くにあったゴミ箱に中身を雑に投げ入れた。


「あーあっ、もったいなーい」
「真優のお母さんこんなの見たら泣いちゃうね」
「いや、怒られるんじゃない?」


後ろで三人の笑い声が響いた。


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