天国への切符
「ウソだ…」
思わず小さな声が漏れた。
ウソだよ…こんなの。
あるわけないよ…こんなこと。
夢でしょ?そうだよ、悪い夢だよ…
だってこんなの……あっちゃいけない。
「あのっ……」
お母さんを跳ねたトラックは電柱にぶつかって止まっていた。
だけどそのトラックからは頬に少し傷がある程度の男の人が降りてきて。
「本当に……すいません!!」
「すいませんでした!」
救急車が来るまで何度も何度もあたしに頭を下げ続けていた。
現実味を感じなかった。
だってこんなの、テレビの世界みたいで。
実際に身近で起こることなんてなくて。
ありえないから。
ウソだから。
これは全部ウソ。夢なの。