天国への切符
「……お母さんっ…」
お父さんまで泣いてるよ?
夢なら早く覚めてよ…
お願いだからもう…今すぐに覚めてよ…
*
だけど夢は覚めなかった。
お母さんの手は、少しずつ体温をなくしていった。
ぬくもりが消えていった。
お母さんのぬくもりが…消えていった。
人ってこんなに簡単に死んじゃうの?
普通に生きてて、いつもと同じような朝を迎えて。
朝ごはん食べて。
あたしにお弁当渡して。
いつものように玄関まで送り出してくれて。
でも、今日は違った。
あたしにコートなんかを渡すために…
そんなもののためにお母さんはあたしを追いかけてきて。
それで…