天国への切符



「……お母さんっ…」



お父さんまで泣いてるよ?



夢なら早く覚めてよ…

お願いだからもう…今すぐに覚めてよ…








だけど夢は覚めなかった。


お母さんの手は、少しずつ体温をなくしていった。


ぬくもりが消えていった。


お母さんのぬくもりが…消えていった。



人ってこんなに簡単に死んじゃうの?


普通に生きてて、いつもと同じような朝を迎えて。


朝ごはん食べて。

あたしにお弁当渡して。



いつものように玄関まで送り出してくれて。



でも、今日は違った。


あたしにコートなんかを渡すために…

そんなもののためにお母さんはあたしを追いかけてきて。



それで…



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