天国への切符
そしてその日、あたしはまた門限を守らなかった。
夜の8時前。
家の前に着くと自然と出るため息。
今日は何を言われるんだろ…
ゆっくりと玄関のドアを開けると、そっと靴を脱いだ。
…あれ?
何故かいつもと違う空気を感じる。
地獄耳かっていうくらいのお母さんの耳は、どれだけそっと帰ってこようとあたしの帰宅を察知していつもすぐに玄関に出てくる。
なのにこの日はいつもとは違い家の中がシーンと静まり返っていた。
誰もいないのかよ。