天国への切符
「良かった…」
次の瞬間…勝手にドアが開き、吉岡がそう言ってあたしの目の前に現れた。
「お前の声が…聞こえたから」
そしてそう言いながらあたしの頭をそっと撫でると、何故かそのままその場で抱きしめられた。
「平野のお母さんが亡くなったって聞いてから…ずっと心配で。だから…お通夜の夜から何度も家の前を通ったりしてたけど」
「…んっ…」
「学校もずっと休んでるし…全然会えないし…」
「んっ…」
何でだろう。涙が止まらない。
「番号を教えてもらって携帯にも何度もかけたんだ。でもずっと電源切れてるだろ?」
「…んっ……うっ……」
苦しかった。
あたしなんかのことを気にかけてくれていた吉岡の気持ちに、苦しくなった。
あたしなんかに、そんな価値ないのに。
心配してもらえるような、そんな人間じゃないのに。