天国への切符
そしてお父さんは、あたしの隣に腰掛けると小さな声でつぶやくように言った。
「遅かれ早かれ、こうなることは決まってたんだ」
決まってた?
意味の分からない言葉と、悲しげなお父さんの横顔。
「ごめんな…本当は、もっと早くに話すべきだったのに」
お父さんはそう言うと目を真っ赤にしながらあたしをジッと見つめた。
「なん…のこと?」
涙が浮かぶお父さんの瞳。
何故かそらせなくて、ジッと見ていると、その瞳からスーッと涙がこぼれていった。
「…お母さんはガンだったんだ」
そしてお父さんは、キュッと唇を噛み締めてあたしの手を握った。