天国への切符
病気辞典?
緑色の分厚いその辞典とやらを拾ったあたしは、それを手にした途端、何故だか不思議な胸騒ぎがしてその辞典を開こうとした。
「あっ…真優、帰ってたの」
だけど、目を覚ましたお母さんが慌てて起き上がり壁の時計を見ると、驚いた顔で立ち上がって。
「あ、ごめんね、ちょっと……調べものしてたの。今からすぐご飯の支度するから」
そう言いながらあたしからその辞典をサッと取り上げると、今日は説教もせずにすぐにキッチンへと入っていく。
そんな姿に何だか不思議な気分を感じながらも、あたしはカバンからお弁当袋を取り出すと、それをそこに黙って置いてそのまま二階へ上がった。