天国への切符
明るくなった液晶画面を見つめていると、なんだか不思議な気分になった。
あんなに大切で、どんな時だって肌身離さず持っていた携帯電話。
だけどこれに触れるのは、久しぶりな気がしたからだ。
電源をいれた途端、鳴り響く音たち。
次々に音を鳴らしながら画面を光らせるそれを、あたしはぼんやりと見つめながら指先を動かしていく。
サエ、聖子、ノア、美波。
メールやLINEがたくさん届いていた。
どれもこれも、お母さんを亡くしてから学校に来ないあたしを心配するような、そんな内容だった。
一通りそのメッセージたちを全部見た。
でも…あんなに大切だったはずの携帯電話。
触れなかったこの数日を思うと、何であんなにもこんな機械にとらわれていたんだろうと思う自分がいた。