天国への切符



「俺、先行ってるわ」


吉岡はあたし達に気を使ったのか、そう言って先に前を走っていく。



「おはよう、真優」

「…大丈夫だった?」



すると、あたしの自転車を挟むように聖子とノアの自転車は両側に並んできた。



「うん、もう…全然大丈夫だよ。ごめんね、心配かけて」



あたしが明るくそう答えると、ふたりはホッとしたような笑顔を浮かべて。



「良かった…本当に心配だったんだ」

「ほんと、ずっと真優のことばっかり気になっててさ…」


そう言って微笑んでくれた。



言葉だけじゃなく、心で伝わってくるものがあった。

本当に心配してくれてたんだなって。

ふたりを見ているとそう感じた。




「あのさ…あれから…サエはどう?」


自転車を漕ぎながら、あたしはふたりに聞いた。



「うん…どうっていうか……ねぇ、ノア…」

「…うん」



なんだか言いにくそうに話す聖子とノアが気になったけど。





「でもサエ、あれから美波には何もしてないよ」

「えっ?」

「真優が休んでた間、ずっと。何かを言ったりしたりすることはなかったんだ」



ふたりの言葉を聞いて、ホッとした自分がいた。


サエは美波に何もしていなかった。


変わってるじゃん。

大きな変化じゃん。


でも…どうして?


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