天国への切符
「じゃあ、サエは誰といるの?」
ふたりに聞いた。
「…誰ともいない」
「いつもひとりでいるようになった」
そしたらふたりは、
何だか暗い顔でそう答えた。
サエが…ひとり?
「…なんで」
「「えっ?」」
あたしがつぶやいた言葉に聖子とノアの声が重なった。
「ひとりって、寂しいんだよ?何もできないの。話すことも、笑うことも…ケンカだってしたくても出来ないし…」
あたしが言うと、ふたりは黙り込んだ。
「聖子とノアはサエがこのままひとりでいてもいいと思う?」
あたし達は、お互いをまださらけ出せていない。
腹の奥底を見せ合えてない。
本気でぶつかり合ってない。
なのに、このままでいいのかな?
このまま何も分かり合えないまま離れても…いいのかな?