天国への切符



お母さんは、強かったんだ。


死ぬのが分かっていたのに、それでもあたしを、おばあちゃんを、お父さんを、あたし達家族を、あの家を…


最後まで変わらず守ってくれていた。



最後まで…あたし達のそばで生きようとしてくれていた。




「…だから言わないでよ…っ…死にたいなんてっ……言わないで…」



泣きながらサエのことを抱きしめた。




「……っ…ゔわああーっ!!」



泣き叫ぶサエの声。

みんな泣いていた。


聖子もノアも美波も。


みんな、泣いていた。


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