天国への切符


おばあちゃんはいつものように食卓に座りご飯を食べていた。

何もなかったかのように普通に座っている。


「おばあちゃん、どこか行ってたの?」

「ん?ばあちゃんはずっと家にいたよ」

「は?どっか行ってたじゃん」

「何言ってんだい、真優。ばあちゃんはずっとここにいたじゃない」


やっぱ頭おかしいんだ。

意味分かんないし。


すると、お母さんが言った。


「おばあちゃん、夕日坂公園の近くにいたのよ」

「は?何で」

「お母さんが眠っちゃってた間に魚月にお魚を買いに出掛けたみたいで。それで…お魚は買ったものの、途中で帰り道が分からなくなってたみたいなの」


そんなことある?

自分の家だよ?ずっと住んでる町だよ?

帰り道が分からないって、あの公園からうちまでは10分もかからないじゃん。


「…へぇーっ。そんなことも分からなくなってるんだ?おばあちゃんやばいね」

「何言ってんだい真優、ばあちゃんは買い物になんて行ってない。お母さんがウソついてるんだよ」


おばあちゃんはそう言うと箸を置き、不機嫌そうに席を立つとリビングから出て行ってしまった。



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