天国への切符
でも、それからというもの。
授業はうわの空になった。
あたしの後ろには吉岡が座ってて。
ただ後ろにいるだけなのに、なんだか意識しちゃって、いつもよりも背筋が伸びていた気がする。
そんなあたしに、吉岡も気付いていたのか。
「お前今日姿勢良くね?」
なんて。
授業が終わった途端後ろから声をかけられた。
「そ、そう?」
だけど、たったそれだけの言葉を返すのがやっとで。
休み時間も、授業中も、お昼休みも。
特別話すこともなかったのに、ほぼ一日中、ずーっとひとりでドキドキしてた。
そして放課後が近づくにつれ、そのドキドキはおさまるどころかひどくなっていって。
六時間目の授業が終わるチャイムが鳴った瞬間、心臓が壊れちゃうんじゃないかと思うくらい、ドキドキがバクバクに変わっていった。