天国への切符



でも、それからというもの。

授業はうわの空になった。


あたしの後ろには吉岡が座ってて。

ただ後ろにいるだけなのに、なんだか意識しちゃって、いつもよりも背筋が伸びていた気がする。


そんなあたしに、吉岡も気付いていたのか。


「お前今日姿勢良くね?」


なんて。

授業が終わった途端後ろから声をかけられた。



「そ、そう?」


だけど、たったそれだけの言葉を返すのがやっとで。



休み時間も、授業中も、お昼休みも。

特別話すこともなかったのに、ほぼ一日中、ずーっとひとりでドキドキしてた。



そして放課後が近づくにつれ、そのドキドキはおさまるどころかひどくなっていって。


六時間目の授業が終わるチャイムが鳴った瞬間、心臓が壊れちゃうんじゃないかと思うくらい、ドキドキがバクバクに変わっていった。


< 286 / 363 >

この作品をシェア

pagetop