天国への切符
みんな帰る場所があって、迎えてくれる人がいる。
心配して、叱ってくれる人がいる。
当たり前なようで、だけどあたしはそれが当たり前ではなくなってしまったから。
だからこそ、みんなには当たり前の今を、自分の環境を、大事にしてほしいなって思うんだ。
「じゃ、またねー!」
「冬休み遊ぼうねー!」
「バイバーイ!」
みんなと別れてからの帰り道。
夜道をひとりきりで走っていると、なんだか無性に寂しくなった。
あんなに笑って、騒いで歌って。
楽しかったはずの今日なのに。
自転車を漕ぐ速度が、少しずつ落ちていく。
……帰りたくない。
何故だかそう思ってしまう自分がいた。