天国への切符
「…っ…ありがとね、吉岡…」
言いながら、抱きついていた体を離そうとしたら、ギュッと強く抱きしめられた。
「ごめんな…いろいろ考えたけど、こんなことくらいしか思いつかなくて」
耳元で吉岡の声が優しく響いた。
「ううん、十分だよ。本当に嬉しかった……ありがと」
そう答えると、もう一度ギュッと抱きしめられて、そっと体が離れた。
「ふふっ、っていうかもう…お面外していいよ?」
「えっ?あ、ハハッ、そうか?じゃあ…外すぞ?」
吉岡はそう言うと顔に付けていたお母さんのお面をゆっくりと外していく。
そしたらいつもの吉岡の顔が目の前に現れて。
「アハハッ、女装した変態みたい」
あたしがそう言うと照れくさそうに笑った。