天国への切符



生まれて初めてだった。

自分から告白するなんて。


生まれて初めてだった。

こんなに胸がキュッとなったのは。


だからこそ慌てた顔で言葉を探している吉岡を見て、あぁ…言わなければ良かったなと、ほんの一瞬思いそうになったけど。



思ったことは素直に伝えたい。

いつ、何が起こるかなんて分からない。


病気になることも、事故にあうことも、誰にだって起こるかもしれないんだ。


突然世界が滅びてしまうことだって、ないとは言い切れない。

明日の保証なんてどこにもないから。


だから…



「とりあえず…今言いたかったから言った。急に…ごめんね」



吉岡の目を見て真っ直ぐに伝えた。


今を後悔しないために。

今は、今しかないから。


あの時言えば良かった、なんて振り返って後悔したくないから。



ありがとうも。

ごめんねも。

好きも。


ちゃんと伝えていくんだ。


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