天国への切符
「俺も好きだし、平野のこと」
強く抱きしめられて、少し苦しいくらいだった。
だけど胸がいっぱいで、本当に嬉しかった。
「正確には…ずっと好きだった、かな」
「えっ?ずっ…ずっと?」
「うん。五年の頃も…好きだったし。あ、でもずっとじゃないか。中学の頃好きになった奴はいたけど。テニス部の子でさ」
「そういうのってさ、別に言わなくて良くない?」
なんかムッとして抱きしめられていた腕を解こうとしてみたけど。
「ヤキモチやいてくれた?」
優しくそう聞かれて、力が抜けた。
「ヤキモチっていうか……」
「何?」
「あたしに他の女の子の話しないでよ」
悔しいけど、素直に言った。
そしたらまたギュッと抱きしめられて。
「ウソウソ、ヤキモチやいてくれるかなー?って言ってみただけ。中学にテニス部なかったし」
耳元でそう言われた。