天国への切符


「…ありがと」


お父さんの方が話分かるじゃん。


ま、年頃の娘にあんなとこ見られちゃったし、悪かったなとか思って渡してきたんだろうけど。


「門限は守れよ?」

「はいはい」


五千円札をさっさと財布に入れると、あたしはすぐに家を出た。


っていうか、土曜日にお父さんが家にいるのって久しぶりだったかも。

駅まで歩きながらぼーっと考えていた。



土日はだいたいゴルフ。

特に土曜日は毎週のように接待ゴルフだと言って朝から夜までほとんどいないから。


天気が悪いわけでもないのに。


晴れた空を見上げて、なんだか不思議な気分になった。


< 36 / 363 >

この作品をシェア

pagetop