天国への切符



「つーか時間やべえよな?」



自分からキスしてきたくせに、吉岡はハッとしたようにあたしから唇を離すと、慌てて木陰で服を着替えにいった。



「ごめん、門限過ぎたの一緒に謝るから」


そしてそう言って、急いでふたりで家までの道を走った。



怒られるかな…。

ドキドキしながらあたし達は家に帰った。


「っていうか本当に一緒に謝ってくれるの?」

「仕方ねーだろ、俺のせいで遅れたんだし」



そんな言葉を交わしながら玄関を開けると、お父さんはすぐに玄関まで出迎えにきてくれた。



だけど、「おかえり」と言われたから、「ただいま」と答えたのに。

いきなり拳で頭をコツンとゲンコツされた。



「8時過ぎてるぞ、門限は守れ」


少し怒った顔でそう言われた。


「すいませんでした!」


そしたら隣にいた吉岡があたしよりも先に慌てて謝って。


「僕がちょっと引き止めてしまって」


そう言ってお父さんに深々と頭を下げた。



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