天国への切符



「あとはケーキだな?とりあえず先に出してロウソク消すか?」

「どっちでもいいよ」

「なんだどっちでもいいって、今日の主役は真優だろ?」

「はいはい、じゃあ先でお願いしますー」



お父さんとあたしの会話を聞いていた吉岡が隣でクスッと笑った気がした。


ロウソクのついた誕生日ケーキが食卓に並ぶ。



「じゃあ、吉岡くん、歌頼むよ」

「えっ⁉︎僕ですか⁉︎いや、お、お父さん一緒に歌いましょうよ」

「お父さん?君のお父さんになった覚えはないぞ?」

「あっ、す、すいません…」

「ははっ、冗談だよ、冗談。じゃあ一緒に歌うか!」

「はい!」



部屋に響きはじめた、男ふたりの、低い声のバースデーソング。



16歳の誕生日は、あたしにとって、きっと一生忘れられない日。


とても素敵な、

クリスマスの夜になった。

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