天国への切符
「今日からこのクラスに入ることになった吉岡だ。吉岡、自己紹介と何でもいいから一言挨拶できるか?」
それは10月の半ば頃だった。
うちのクラス、一年二組に転校生が入ってきた。
騒がしい教室。
季節外れの転校生は一瞬でみんなの注目の的だった。
「あーっ…はい。吉岡 龍二です。よろしく、お願いします」
すらっとした背丈。
顔ちっさ!モデルみたいなやつだな。
ぼーっと頬杖をつきながら見ていると、先生が言った。
「窓際の一番後ろ」
は…い?
「あのひじついてボーッとしてる女子いるだろ」
「あーっ、はい」
「あいつは平野真優。吉岡の席は平野の後ろの席だ」
先生がそう言うと、転校生はこっちをジッと見て。
「分かりました」
そう言ってこっちに向かって歩いてきた。