天国への切符
だけど、仲が良ければ良いほど、こじれた時のぶつかりようはハンパなかった。
きっかけは、同じ先輩を好きになったっていう、ほんとくだらない話で。
そしてその先輩と先に仲良くなっていたのはサエだったけど…
先輩は後から仲良くなった美波の方に興味をもってしまっていた。
先輩からLINEがきた、とか。
明日遊ぼうって電話があった、とか。
美波は嬉しそうにあたしや聖子達に先輩とのやりとりを惚気ていた。
だけどサエには言いにくかったらしく、ずっと黙っていたらしい。
口をすべらせたノアからそれを知ったサエのその時の様子は、怒っているとかそういうレベルを通り越していた。
ちょうど美波はトイレに行っていて、教室にはいなかった。
サエは美波のカバンを三階の窓から勢いよく投げた。
自分のカバンからペットボトルのお茶を出してくると、それを机の上や椅子の上に雑にこぼした。
「なめてんじゃねーよ」
そしてトイレから戻ってきた美波に、そう言って空っぽのペットボトルを投げつけた。