天国への切符




後ろから聞こえてきた声に思わず振り返った。


「授業中、ずっとこんななのに」


そしたら吉岡がすっごい前かがみなっていかにも姿勢悪いですって感じなふりをする。



「そこまで姿勢悪くないし」


ぷいっと前を向き、立ち上がった。


「ごめんごめん、ちょっとオーバすぎたかも」



吉岡はそう言うとすっと立ち上がり、もう一度ごめんごめん、と言いながらあたしの横を通り過ぎていった。



そして…


「松井ずっと寝てただろ!先生起こしてたぞ⁉︎」

「マジ⁉︎やっべ、吉岡何で起こしてくんねーんだよ」


吉岡は教卓の前から二番目に座る男子、松井と話し始めた。



「ははっ、お前と俺席離れすぎだろ」

「ははっ、確かにそうだな」


笑ってるし。

あいつら仲良くなってるんだ…


「つーかど真ん中でよくあんなに堂々と寝れるよなー、なぁ?吉岡」

「だろ?堂々と寝過ぎ!」


松井と話していた吉岡に、杉山が話しかけた。


そしたら次は近くにいた渡辺も、永井も。

気がついたら吉岡を囲むようにそこに輪ができていく。



何あいつ、いつの間にみんなと仲良くなってんの。

< 78 / 363 >

この作品をシェア

pagetop