天国への切符






「真優!どこ行くの?」


土曜日の、夕方4時。


家を出た直後、お母さんが家から出て来た。



「真優!」


キーンと響く声。

無視して歩き出していたあたしの腕をお母さんは強くギュッと掴んだ。


「痛いなー、離せよ」


睨みながら吐き捨てるように言ったけど、お母さんはあたしの腕から手を離さない。



「どこ行くの」


そしてまた、そう聞いてきた。


うっざーっ。

あたしの行動を全部把握してなきゃ我慢できないわけ?

どんだけ子離れできないんだよ。



「サエの家」


だからあたしはウソをつく。


つきたくてついてるんじゃない。


「そう…サエちゃんの家に…」

「だから離して?聖子達も待ってるの」


つかせてるのはあんただからね。


「門限…守ってよ?」

「はいはい」


あたしは短く返事をすると、そのまま足早に歩き出した。


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