天国への切符
くさってる。
でも…そんなくさった奴に引っかかっていたあたしは…もっとくさっていたのかもしれない。
「あれ?ひとりー?」
聞こえてきた声にふと視線をずらした。
暗くなった夜道の中で煌々と光るその場所。
自動販売機がいくつも並んでいるそこから、その声は聞こえてきた。
「可愛いー、いくつ?」
20代前半くらいだろうか。
路肩に停めた車の横に突っ立っていた男がゆっくりと近付いてくる。
いかにもチャラそうな変な奴。
何か…目がすわってる?
怖くなって無視して歩き出した。
「あれ?無視はやめてよー、声かけてんだけど」
だけどついてくる声と足音。
前には誰もいない。
あたしはとっさに足早に駆け出した。