彼の命日。
彼という光
「…来たよののか!!」
張り込みをしいてる私よりも張り込みをしてくれている私の友人、「佐伯 夢(サエキ ユメ)」が窓の外を指さして騒いだ。
「ちょっと夢、騒ぎ過ぎ!」
「だってやっとだよ!!…あっ、行っちゃう!」
彼女が騒ぐのも無理はない。
夢の一言に、私は窓の外を見た。
「……。」
凄くかっこいいと思う。いや、彼よりもかっこいい人はいないと思う。
率直に言うとここ数か月、私は「恋」というものをしていた。
「ののか追いかける?どうするの?」
私よりも張りきったせいか、夢は追う気らしい。
「今日は…辞めとこうかな。」
そんな夢の期待を裏切る言葉が、私の口から零れ落ちた。
私は夢よりも、彼を知っているから…。