花火
◇一本道
僕はこの道を歩く。
街灯はなく、暗く足もとの見えないこの一本道を。
僕はこの道を歩く。
一本道を歩く僕の体を涼しい夜風が包み、そしてまた去っていく。
僕はこの道を歩く。
僕は夜風と共に草の香りを感じる。
僕はこの道を歩く。
草の香りは、もう少しで夏が終わることを告げる。
僕はこの道を歩く。
僕は前を向いたまま静かに瞳を閉じた。
僕はこの道を歩く。
瞳を閉じると、今までの思い出が頭をよぎりまた過ぎ去っていく。