花火


僕は馬鹿だ。

なんで君との毎日を、君との時間を大切にしなかったんだ?

出会えたこと。

それ自体が奇跡なのに。

同じ時間を過ごせたこと。

それは奇跡が重なってできたものなのに。

「いつ?」

僕は言いたいことも、言わなきゃいけなかったことも言わなかった口で小さく尋ねた。

「明日の夜。」

君は、小さく応えた。

小さな風が吹けば、消えてなくなってしまうかのような小さな声で。

僕は、君を抱きしめた。

まだ言えたのに。

まだ伝えられたのに。



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