花火
伝えたいこと。
言いたいこと。
僕の心の中でそれは膨らんでいった。
伝えたい。
言いたい。
膨らむ大きな気持ちを抑えることができなかった。
でも、その伝えたいことは言葉にならなかった。
言いたいことを表わす言葉がなかった。
言葉でしか伝えられないのに、
言葉では伝えられなかった。
だから僕は精一杯の気持ちを託して静かに唇を重ねた。
「おやすみ」
僕は小さくつぶやく。
その小さな声は夜の空に消えていった。