花火


僕に出来ることは限られている。

ほんの小さなことしかできないかもしれない。

だけど、今の僕に出来る精一杯のことをしようと心に決めた。

家まで走って帰り、玄関に鞄を乱暴に投げ捨て階段を駆け上がった。

部屋に入ると携帯の電源を入れた。

僕は君との二人だけの時間を誰にも邪魔されたくなかった。

だからいつも携帯の電源を切っている。

電源を入れるとすぐにアドレス帳から君の名前を探し、電話をかけた。



………………。


「こんな時間にどうしたの?」

携帯から君の声が聞こえてくる。



< 20 / 67 >

この作品をシェア

pagetop