花火
僕に出来ることは限られている。
ほんの小さなことしかできないかもしれない。
だけど、今の僕に出来る精一杯のことをしようと心に決めた。
家まで走って帰り、玄関に鞄を乱暴に投げ捨て階段を駆け上がった。
部屋に入ると携帯の電源を入れた。
僕は君との二人だけの時間を誰にも邪魔されたくなかった。
だからいつも携帯の電源を切っている。
電源を入れるとすぐにアドレス帳から君の名前を探し、電話をかけた。
………………。
「こんな時間にどうしたの?」
携帯から君の声が聞こえてくる。