花火


「やっとついた。
この道ってこんなに長かったっけ?」

僕は息を切らしながらそんな疑問を抱いた。

今までは距離なんか気にせず歩いてた。

でも振り返って見れば、長い長い道のりが僕の後ろにはあった。

その一本道を見ながら俺は小さくつぶやいた。

「大人になって、おじさんになって、お爺さんになって。
その時思うんだろうな。」

あの日の僕は確かに歩いていた。

自分でも信じられないような果てしない道のりを。

よそ見もせずに。

そして、その一歩一歩に、その一瞬一瞬に何かを感じ、何かに怯えながら。

そして、その小さな手で手に入れた何かをなくさないように大事にしまっていたんだって。

それは夢かもしれないし、思い出かもしれないし、大切な人なのかもしれない。




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