花火
「ささやかながらに、お祝いをしようと思って。」
僕は君に笑顔でそういった。
僕たちが夢見ていた、二人一緒の幸せな未来はないけれど。
いや、だからこそせめて、二人一緒にいた思い出を作ろうと。
「ありがとう」
君は涙ながらにそう言った。
僕は明日から君がいなくなることはやっぱりすごく悲しかったし、信じたくなかった。
でもその事実を変えられるような力は持っていない。
だったら僕はせめて、精一杯の笑顔を君に送ろうと決めたんだ。
君の最高の笑顔の横で。