花火


僕は、一本道の長い先にある大きな木の下に座る。

そしてもう一度空を見上げる。

月は僕を見降ろして、さびしげな表情を見せる。

「寂しくなんかないよ?」

月は静かに僕を見つめる。

「涙なんか流さないよ?」

僕は自分に言い聞かせるように、そう言った。

返事何か返ってこないけど。


だけど--


僕は、大きな木にもたれ、根元に手を置く。

地面の冷たさが伝わってくれる。


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