花火


花火をろうそくに近づけて火をつける。

すると勢いよく光が出てきて、周りが明るくなる。

「きれい」

僕と君は声をそろえてそう言った。

急いで買った1セットだけの花火セットなどあっという間になくなっていく。

二人の残された時間を表わすかのように、ろうそくは少しずつ火を弱め短くなっていく。

それとともに、花火の残りも減っていく。そして、花火セットの袋の中に残る花火は線香花火となった。

「もう線香花火だけだね」

君が小さくそう呟いた。

今まで色々な話をして盛りあがっていたが、その一言で急に静かになってしまった。


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